6月は環境月間です。2025年度のテーマ「心地よい暮らしのために、今できる選択を。」に基づき、小売店舗が実践できる資源循環の原則「3R+Renewable」を解説します。紙のムダ削減やデジタルツール活用、リユース容器の導入支援、再生可能エネルギーの活用など、具体的な8つの選択肢で店舗運営を持続可能に。環境配慮と経営効率の両立を目指す方に必見の内容です。
2025年6月10日 Whywaste Japan シニアオフィサー 小川 訓昌
~目次~
- 「心地よい暮らし」のために、今できる選択とは?
- 今できる8つの選択肢
【Reduce】 紙と廃棄のムダを“今すぐ減らす”
選択肢❶ 紙POPの削減で「見えるムダ」をなくす
選択肢❷ 廃棄ロスを減らすデジタル・ソリューション
【Reuse】 “繰り返し使う”という、地球にやさしい選択
選択肢❸ 長寿命デバイスで“省資源”店舗を実現
選択肢❹ 店舗什器・備品の再利用・再配置
選択肢❺ リユース容器や「返却ボトル」の導入支援
【Recycle】 廃棄を“資源”に変える工夫を
選択肢❻ 賞味期限接近品の寄付で「社会的リサイクル」
選択肢❼ 食品残さを堆肥にして資源
選択肢➑ 容器・資材の回収で「お客さまと一緒に循環をつくる」
【Renewable】 再エネと省電力で、店舗も“心地よく” - 「Expiry Management」の可能性
- まとめ|「心地よい暮らし」を実現するために
1. 「心地よい暮らし」のために、今できる選択とは?
2025年度の環境月間テーマは、「心地よい暮らしのために、今できる選択を。」(環境省)です。
このメッセージは、気候変動やごみ問題、資源枯渇といった地球規模の課題に対し、私たち一人ひとりが「暮らしの中でできること」に目を向けて行動することを促しています。

Webサイト: 環境の日及び環境月間:環境省
なかでも小売業は、商品流通・消費の“入り口”に立つ存在として、環境配慮の大きな鍵を握っています。
では、店舗でできる選択とは何でしょうか?そのヒントとなるのが、環境省が推進する資源循環の原則、「3R+Renewable」です。
これは、私たちの暮らしや事業活動を「ごみを出さず、循環させる方向」に転換するための4つのキーワードです。

この「3R+Renewable」は、単にごみを減らすだけではなく、店舗運営そのものを持続可能な形に“リデザイン”する考え方です。
Webサイト: 3R+Renewable | ecojin(エコジン):環境省
2. 今できる8つの選択肢
「3R+Renewable」のキーワードにそって、店舗でできる選択肢を挙げてみます。

【Reduce】 紙と廃棄のムダを“今すぐ減らす”
「Reduce(リデュース)」とは、「もったいない」を事前に断ち切ること。
紙・人手・食品ロスを減らすことで、環境にも現場にも“心地よさ”が生まれます。
選択肢❶ 紙POPの削減で「見えるムダ」をなくす
紙の価格表示POPや販促ラベルは、店舗あたり年間数万枚にのぼることもあります。
それらの印刷・貼替・廃棄には、人手と資源の両方がかかっており、ムダの温床になっています。
電子棚札(ESL)を導入すれば、こうした紙の消費・廃棄をほぼゼロにできます。
人件費だけでなく、ミスや貼り忘れによる販売機会ロスも防げます。
もうひとつの大きなムダが、販売期限切れによる廃棄ロスです。
これに対しては、賞味期限管理のデジタルシステムを導入することが有効です。
たとえば、
- 期限が迫った商品のアラート表示
- 期限切れのリスクに応じた値引き販売への誘導
といった機能により、販売期限切れのリスクが高まった商品を最適なタイミングで見切ることが可能になります。
これにより、廃棄される前に値引き販売・寄付・加工などの対応へとスムーズにつなげることができ、食品ロスの削減と利益の最大化の両立が図れます。
【Reuse】 “繰り返し使う”という、地球にやさしい選択
「Reuse(リユース)」とは、製品や資材を一度使って終わりにせず、繰り返し使うこと。
資源を“長く使う”ことは、新たな廃棄物の発生を防ぎ、製造・輸送にかかるCO₂も抑える最もシンプルかつ効果的なアクションです。
電子棚札(ESL)やモバイル端末などのデジタル機器は、適切な管理と運用で5年以上使用可能な設計が主流です。特に電子ペーパー型のESLは、電池消耗が少なく物理的劣化も少ないため、繰り返し使える「資源型デバイス」といえます。
一方で、これまでの紙POPは“使い捨て”が前提。
たとえば、「年間2万枚の紙POPを削減=2万回の印刷・運搬・廃棄を不要にする」ことになり、間接的なCO₂削減効果も大きくなります。
販促棚やワゴン、パネルなどの店舗什器や備品の使い回しも、Reuseの代表的な例です。
「使い終えた什器を別売場へ再配置する」「改装時に廃棄せず保管・再利用する」などの運用ルールを設ければ、ごみの発生を抑えつつコストも削減できます。
とくに近年では、分解・再組立てが可能なユニバーサル什器も普及しており、1つの什器を複数の売場で柔軟に活用する店舗が増えています。
持続可能な資源循環社会の先進国・スウェーデンでは、容器のデポジット(預り金)制度が広く普及しており、リターナブル瓶(再使用瓶)を含む飲料容器のリサイクル率は90%を超える高い水準を誇ります。
また、日本企業(酒造業界、清涼飲料業界や小売業)でも、消費者が使用後に返却し、再洗浄・再利用されるしくみは広がりつつあり、ビンやプラスチックごみの削減に効果を上げています。
店舗としては、リユース容器の商品を“選べる棚”として明示的に展開することで、環境配慮型の選択肢を提供できます。
【Recycle】 廃棄を“資源”に変える工夫を
リサイクルとは、単に“捨てずに再利用する”というだけでなく、廃棄物を資源に戻す視点を持つことでもあります。小売現場でできるRecycleの取り組みには、以下の3つが挙げられます。
売れ残る前に、賞味期限が迫る商品を地域の福祉施設やフードバンクに寄付することで、廃棄せずに社会貢献へとつなげることができます。
寄付実績を可視化できれば、ESG経営やCSR報告書の資料としても活用可能です。
青果や惣菜などで避けられない廃棄が出る場合も、それを堆肥化(コンポスト)するルートを確保すれば、資源循環の一環として活かすことが可能です。たとえば地域の農園や学校給食センターと連携し、堆肥を地域農産品の栽培に活用するモデルも全国に広がりつつあります。
特に生ごみの焼却が主流の日本では、堆肥化によってCO₂排出を抑える効果も大きく、店舗の環境負荷低減に寄与します。
プラスチックや紙などの包装資材についても、リサイクルは重要です。
近年では、小売店舗が店頭に回収ボックスを設置し、ペットボトルや食品トレー、アルミパウチなどを受け入れる取り組みが広がっています。これにより、お客さまも“ごみを資源に戻す参加者”となり、環境行動を共有する場が店舗に生まれます。
【Renewable】 再エネと省電力で、店舗も“心地よく”
「再エネ」と聞くと、大規模な設備や高コストを思い浮かべるかもしれません。
しかし今、再生可能エネルギーや省電力技術は、身近な店舗運営でも手軽に取り入れられる選択肢になっています。
たとえば、電子棚札(ESL)に採用されている電子ペーパーは、表示を保持する際には電力を消費しない設計。一度表示を更新すれば、数年間そのまま表示を維持できるため、従来の液晶やLED表示と比べて圧倒的に省エネです。
さらに、太陽光パネルと組み合わせたソーラー型ESLも登場しており、電池交換が不要な“電池レス運用”が可能になります。店内照明でも発電できるため、バックヤードや冷蔵什器周辺にも適応しやすくなっています。
つまり、Renewable(再生可能)の選択は――
- 店舗設備の運用コストを下げる
- CO₂排出量を抑制する
- 環境配慮を打ち出すことで、顧客や従業員の共感を得る
という、まさに“心地よい店舗づくり”につながるアクションなのです。
3. 「Expiry Management」の可能性
賞味期限管理アプリ「Expiry Management」を導入した店舗では、期限チェックにかかる作業時間を最大80%短縮し、廃棄ロスも最大40%削減するという大きな成果が出ています。また、効率的かつ正確な期限管理が可能となり、店舗運営の改善に貢献しています。
さらに、電子棚札(ESL)と連携※することで、チェック対象の商品にLEDを点灯させて視認性を高め、作業の効率化が一段と進む点も見逃せません。Expiry Managementの可能性にご注目ください。
※Expiry Managementは、VusionGroupの電子棚札(ESL)と連携しています。
まとめ|「心地よい暮らし」を実現するために
「心地よい暮らし」は、消費者だけでなく店舗運営を担う現場からも実現できるものです。
環境月間というこのタイミングを、オペレーションを見直す絶好の機会に!
Expiry ManagementやESLなどのツールを使えば、環境に配慮した選択が、日々の業務と自然に重なっていきます。是非、心地よい店舗運営のための選択肢のひとつに加えてください。
「Expiry Management(エクスパイリー・マネジメント)」は、賞味期限管理に特化したデジタルツールです。商品ごとに賞味期限を入力するだけで販売期限を自動モニタリングし、期限が近づいた商品をスタッフへ即座に通知します。これにより、チェック作業の負担を大幅に軽減し、廃棄ロスの削減にもつながります。
【Webサイト】Expiry Management (旧名:Semafor) 賞味期限管理
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