2024年10月30日、日本政府が定める「食品ロス削減の日」に、第8回食品ロス削減全国大会 in 群馬が群馬県高崎市のGメッセで開催されました。私たちWhywaste JAPANは、この重要なイベントにブースを出展いたしました。当日のメイン会場では、食品ロス削減推進表彰や基調講演が行われましたので、その内容についても合わせてご紹介いたします。
◆令和6年度食品ロス削減推進表彰
◆井出留美さんによる基調講演
◆Whywaste Japan ブース出展
2024年11月10日
Whywaste Japan シニアオフィサー
小川訓昌
◆令和6年度食品ロス削減推進表彰
この表彰は、食品ロス削減を促進し、その波及効果が期待できる取り組みを行った団体や企業に対して贈られます。食品の削減や食品寄付の推進に資する活動を広く国民運動として展開していくことを目的としています。今回、小売業界で受賞された味の素様とセブン-イレブン・ジャパン様の取り組みについてご紹介します。
【環境大臣賞】 味の素株式会社
フードロス削減プロジェクト「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~™」を通じた、生活者の行動変容の促進と協業によるローカルなエコシステム構築への貢献
取組概要: 2022年より「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~™」プロジェクトを立ち上げ、生活者向けの食品ロス削減レシピの開発・提案、幅広いステークホルダーと協業した啓発企画に取組み、生活者の行動変容を促進。各地域の自治体・団体、流通との協業にも注力し、地域課題解決にも貢献するレシピ開発や流通各店舗の店頭コミュニケーション等、生活者の行動変容に向けた取組みを継続的に実施。2024年は全国47都道府県の自治体・団体や流通事業者と連携した啓発企画「日本全国ご当地対抗!「捨てたもんじゃない!™」 グルメグランプリ」を実施し、食品ロス削減の取組の継続可能な環境づくりに貢献。グローバルでも展開し日本を含む4カ国で同様の取組を推進。
【消費者庁長官賞】 株式会社セブン-イレブン・ジャパン
お店と本部、お客様が一体となって「エコだ値」(値下げ販売)で食品ロス削減!
取組概要:2024年5月から値下げ販売「エコだ値」を全国の加盟店へ推奨し、実施(2024年7月8日時点で18,149店)。恥ずかしさから「値引きシール」を貼った商品を避ける消費者もいるため、「安さ」ではなく「環境」をイメージしたシールを作成。販売期限の迫った商品の販売促進のほか、期限切れによる欠品を減少。対象商品購入者には協力への感謝を伝えるといった取り組みも進めている。
その他、受賞の詳細はこちら consumer_education_cms201_202400927_0002.pdf (保護)
◆井出留美さんによる基調講演
「食品ロスゼロを実現するには」というテーマで、井出留美さんによる基調講演が行われました。講演では、食品ロスの現状や社会的影響、そして削減に向けた具体的な事例が紹介され、特に印象深かったポイントを以下にまとめます。
【食品スーパーにおける食品ロス削減の効果】
講演の冒頭では、スーパーマーケット「ハローズ様」の事例が紹介されました。2017年から2023年にかけて、同スーパーでは廃棄率を0.76から0.42に減少させ、約8億円の経費削減を実現したとのことです。この成果は、食品スーパーでも「食品ロスゼロ」を達成できる可能性があること、そしてそれが収益にも大きな影響をもたらすことを示しています。
【社会的な影響】
井出さんは、食品ロスが社会に与える影響についても言及しました。1世帯が1年間に捨てている食品を金額換算すると、1世帯あたり72,000円にも上るとのことです。さらに、小売店から発生する食べ物ゴミの処分費用は税金で賄われ、その金額は2兆1,519億円にも及びます。食品ロスによる経済的損失は約4兆円であり、教育、福祉、医療、年金などの社会課題の解決に活用できた可能性があると指摘されました。また、食品ロスは世界で3番目に大きな温室効果ガスの排出源であるとのことです。
【小売りの現場で活用できるヒント】
井出さんは、メーカーや小売企業が消費者に商品パッケージで賞味期限を分かりやすく伝えることが食品ロス削減に役立つ事例を紹介しました。デンマークでは、パッケージに「日付を過ぎても大抵の場合は飲食可能です」と表示した結果、(その他の施策と併せて)5年間で約25%の食品ロス削減を達成したとのことです。日本でも、消費者庁が「賞味期限の愛称・通称コンテスト」を行い、「おいしいめやす」という愛称が最優秀賞に選ばれ、パッケージに使用しているメーカーもあるとのことです。
参考サイト:「賞味期限」の愛称・通称コンテスト
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/contest/
◆Whywaste Japan ブース出展
展示会場では、食品ロスの削減に取り組んでいる行政や自治体をはじめ、フードバンクやこども食堂の主催団体や、ソリューションを展開している企業が参加。Whywaste Japanは、小売店舗における、賞味期限管理業務の効率化と食品ロスの削減を目的とした業務用アプリサービス『Semafor(セマフォー)』とともに、現在開発中の新プロジェクト『Food Donation Bridge』を紹介しました。
未来へつなぐ寄付の架け橋プロジェクト 『Food Donation Bridge』
「Food Donation Bridge」は、小売店からフードバンクへの寄付プロセスを簡素化し、効率化するためのプラットフォームです。このプラットフォームを通じて、小売店は余剰食品を簡単に登録し、フードバンクに寄付することができます。これにより、食品が迅速に必要な場所へ届けられ、食品ロスの削減に大きく貢献します。
来場者には自治体関係者に加えフードバンクやこども食堂の関係者も多く、興味を持っていただきました。
当プロジェクトは、現在、フードバンク愛知様と開発を進めています。ご期待ください。